第九章
謎解き
第九章
謎解き
様々な観葉植物が所狭しと並ぶ店内。湧き水の流れる音。カウンター席に座る真希子と花園。



ご注文は?





花園さんのおすすめは?あなたと同じモノを頂くわ





そうね。では、モヒートを二つで





(鉢の値札を見て)まあ、ここの植物そのままバラ売りしてるんですね。帰りに買っていこうかしら?オフィスに合いそう。きっと空気が変わるわ





さすがマネージャーさん。そしてお待ちかねよ





幸せ~、生きてる~





ホント美味しいわ…さっきのお店と違ってちゃんと乾杯を鳴らせてホッとしました





ああ、失礼。ごめんなさいね。大変言いにくいのだけどざっくばらんにお話します。後藤真希子さん、あなたが犯人です





私には買い物をしたアリバイがありますけど





そんなのアリバイになりません。決め手は今日のデザートです。今日私が鑑識ちゃんに半分ドーナツを千切ってお渡ししたのは覚えてらして?





あ、はい。茶蕎麦ドーナツですよね?





そう、あの超人気の茶蕎麦ドーナツ。本当は彼にあげずに独り占めしたかったんですけど私にはそれができませんでした。なぜだと思います?





部下への愛情かしら?





まあ、美しい答え!正解にしたいけどハズレです。アレルギー。実は私蕎麦とキノコのアレルギーなんです。ですから泣く泣く蕎麦ソースのかかった半分を彼にプレゼントしなくてはいけなかったんです。まさか一日で二つも天敵にお目にかかるとはねえ(笑)





まあ、そうだったの?ごめんなさい私気付かないで。相性悪いのね、私たち





いえいえ、これはめぐり合わせの問題です。でも、そこで私ビビッと来たんです。実はご主人もおんなじだったんじゃないかって





さて、そうだったかしら?初耳だと思います





それは有り得ない答えです。鑑識の結果、彼の食物アレルギー品目はそば粉。これは重度の患者だと死に至る危険性のあるタイプです。こんな重大なことを10年間あなたに黙り続ける理由がない。(携帯かざしながら)因みに今メールで鑑識ちゃんから直也さんのアレルギー反応有りの報告が





…でも、それだけじゃ私が彼を殺したという証拠にはならないわ。二人で事務所にいるときは必ず3時にお茶菓子を出していました。むしろそれを知っていたあずささんなら彼を殺せるのではないかしら?





たしかに出来たかもしれません。でも、あなたが犯人である決定的証拠がここにあるんです





なんです?





失礼


真希子のスカーフを手に取る花園。茶蕎麦リングのソースが付いている。



クビ元のキスマーク。直也さんの唇にはソースがべっとり付いていました。あなたが死体を運んだ時についたのでしょう。それ以外ありえない場所です





…よく気付いたわね、こんなところ





前のお店で、トイレですれ違った時に。あの作りでなければ見つけるのは難しかったかもしれません





調子に乗ってあなたを誘わなければ良かった…高く付いたわー





ごちそうさまでした





ホントよ(笑)…いつもそう。私の知らないところで直也は悪戯してて、いつも最悪の結果になってから明らかになるの。まさか死ぬまでそれに振り回されるとわね…やになっちゃう


扉を開けてやってきたのは草野とあずみだった。



…真希子さん、私


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