初めて会った時と同じように、博士はあたしの体を抱きしめる。



ハッハッハッ……。





……チャーリー? くすぐったいよ。





……オ目覚メデスカ? オ姫サマ。





え? ……あ。うん。





おお、気づきよったか、よかった!


初めて会った時と同じように、博士はあたしの体を抱きしめる。
その抱擁はあたしの体を気遣ったものだが、あたし自身に向けられたものではないことにちょっとさびしい気がした。



それで、実験の結果は……?





お? ああ、そうじゃった。一応
成功はした。したんじゃが……。





姫サマ。元ノ体ヲ
強クイメージシテミテクダサイ。





えっと、こうかな?





……。





おお、変換しよった。じゃが……。





あれ……? 体がうごかない……?
意識はあるのに……。





脳波ハ正常ナ眠リヲ示シテイマスガ、 補完サレタ部位ハ覚醒シテイマスネ。 姫サマ、元ニ戻レマスカ?





えっと、こうかな。





はい。もどったよ。





コチラハ完全ナ姫サマデスネ。





ううむ、これは……。





フタリノ人間ガ、ヒトツノ体ヲ
共有シテイルトイウコトデショウカ?





いやむしろ、ひとりの人間がふたつの体に分離した状態じゃな。なんとも形容しがたい状態だが、こんなことになるとは正直予想外じゃった。……すまん。





……。





ナルホド。今ノアナタト姫サマハ理想的ナ共生関係ニアルトイエマス。人間ニ 例エルナラバ胎児ト母親ノ関係ニ近イ。





!!





チャーリー、なにを!?





胎児ハ母親ニ守ラレナガラ栄養ヲ貰イ、健ヤカニ育ツ。母親ハ子供ノ成長ヲ
スグ傍デ見守リ続ケル。姫サマノ保護ガ無クナレバアナタハ亡クナリマスカラ。





チャーリー、あなた……。





ハイ。ナンデショウカ。





ね、今のあたしに、子供は作れるの?





姫サマニハ不可能デスガ、
アナタニナラ可能デスヨ。





そっか。……まいったな、この歳でもうこんなに大きな子供出来ちゃうなんて。





……。





博士、ありがとう。
それからチャーリーも。





イイエ、ドウイタシマシテ。トコロデ 姫サマ、一ツオ願イガアルノデスガ。





え、なに?





デキレバ一人称ハ「ボク」ニシテモラエマセンカ。ソノホウガ博士モ喜ビマス。





こらこら、なにを言っとるか!?





ふふっ、わかったよ。
ボクがんばってみる!





ハイ。ヨロシクオ願イシマス。


